―ドラマが決まったときの感想を教えてください。
宮部みゆきさんの作品で、主演を務めさせていただけるのは本当に嬉しかったです。あまりにビックリして、初めて話を聞いたときは「それ、本当に?僕が主演?」と、2、3回聞き返しました(笑)。宮部さんは、僕が杉村のイメージにぴったりだと言ってくださったそうで、撮影前に宮部さんにお会いしたときに「何で僕が杉村にぴったりだと思ったんですか?」と伺ったんです。そうしたら「杉村三郎は素直な人に演じて欲しくて、その素直さが小泉さんと重なるんです」と言ってくださいました。また、「原作は気にせず、ご自由に演じてください」とも言われたのですが、その言葉はとてもプレッシャーに感じています(笑)。
―原作はお読みになられましたか?
「誰か Somebody」と「名もなき毒」の両方とも読ませていただきました。読み終わって、自分が杉村を演じると考えたときに、とても自然に入って来ました。つかみづらい人間ではなく、ごくごく平凡な男なのですごく共感できましたね。
―演じられる杉村三郎はどんな人物ですか?
人に優しく穏やかな男ですね。自分に近いところもありますが、よりほわーっとしているかなと思います。実際の物語でもそうですが、末っ子タイプですよね。話が進むにつれてほかの人たちの毒に触れていきますが、どんな毒にも染まらないピュアな存在で、本人も純粋でありたいと思っている。どんな環境でも自分を見失わない杉村の清らかな心は、僕はとても好きですし応援したくなります。
―4歳の娘の父親役と言うことについては?
父親役はあまり経験がなく、今回で2回目になります。合間に桃子役の矢崎由紗ちゃんと遊んだりしていたんですけど、お父さんは体力が要りますね(笑)。でも、とっても楽しいです。
―ご自身で「心に毒を持っている」と思うことはありますか?
やっぱりありますよね。1日の中でも、言葉にはしないですけど、つい人を責めてしまう気持ちなどは心の中にふっと出てきたりします。
―共演されるみなさんの印象はいかがでしょうか?
深田恭子さんは、存在感や雰囲気、女優としての全ての要素が年々増していて、とても魅力的ですね。国仲涼子さんは5、6年ぶりの共演なのですが、清涼感は変わっていないし、以前よりも色気が増していてとても素敵です。真矢みきさんは、何度か共演させていただいていますが、国仲さんと同じく5、6年ぶりになるので、楽しみにしています。今多嘉親役の平幹二朗さんとは、男同士のやり取りがあるのですが、その中でも、セリフがなく心と心で話すお芝居がすごく好きです。しかも、義理の父親ということで、杉村は一生頭が上がらないですし、そんな平さんとのやり取りは本当に面白いですね。
―特に注目して見て欲しいポイントを教えてください。
杉村がストーリーテラーとなって、見てくださる方が感情移入しやすいような話の展開になっていると思います。また、ヒューマンドラマとサスペンスの2つの要素が入り混じっていますし、杉村は自分が前に出ていくっていう人間ではないのですが、そんな男が最後になって物語を引っ張っているのが面白い部分ですので、「杉村はこの先どういう風になっていくのだろう?」という目線で見ていただけると嬉しいですね。
―視聴者の方にメッセージをお願いいたします。
僕自身、杉村三郎という人物がすごく好きですし、現場でも大切に演じていますので、ぜひ見てくださった皆さんに「杉村がんばれ!」って応援してもらえたら嬉しいです。最後までいろんな展開がありますので、楽しみにしていてください。