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2010年11月14日放送
ウォータートン グレーシャー国際平和自然公園

19世紀の探検家が、この地を「北米大陸の冠」と名づけました。
その理由は、3つの大海に注ぐ源流が集まっていること。それが、トリプル ディバイド ピーク。
2つの分水嶺が交差するこの山の頂に降った雨は、西に流れると太平洋へ、東に流れると大西洋へ、そして北に流れると北極海へと流れます。
世界的にも珍しい、この自然環境が動物達の楽園を生みました。

大平原に突如として聳え立つロッキー山脈。それを象徴するのが
チーフ マウンテンです。まるでビルのように天に向かって垂直にのびるこの山は、先住民ピカニたちの聖地でもあります。
そこで、今も祈りを捧げる一人の男性に出会いました。その彼が案内してくれたのがとある小学校。ここでは、ピカニ語で全ての授業が行われています。言葉を後世に伝えること、それが自分たちのアイデンティティーを守ることだとその男性は語ってくれました。
その学校には、消え行く文化を懸命に守ろうとする、先住民たちの熱い想いが脈々と受け継がれていました。

アメリカ、カナダの国境地帯。ロッキー山脈のほぼ中央に位置する、この自然遺産は世界で初めて誕生した国際平和公園。公園設立のきっかけは、両国の地元市民たちが起こした小さな運動でした。
今からおよそ80年前、周辺のロータリークラブのメンバーが共に立ち上がりました。人間が定めた国境など関係なく続く、豊かな自然を守ろうと政府に呼びかけたのです。
こうして、1932年、隣あう2つの国立公園がひとつの公園「ウォータートン グレーシャー国際平和自然公園」へとなったのです。
この地域は北米大陸の野生動物、その殆どが暮らす命溢れる場所。
今回は、絶滅が危惧されているグリズリーの親子にも出会えました。他にも、ロッキー山脈の固有種、ビッグ ホーン シープやマウンテン ゴートなどたくさんの動物が登場します。
そして、番組のエンディングを飾るのが、エルクの大移動。彼らは、春から夏にかけてアメリカ側の国立公園ですごし、冬の訪れが近づくと標高の低いカナダ側の公園に移動してきます。彼らの壮観な大移動は、ここが世界遺産になった大きな理由のひとつでもあります。

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