TALK スペシャル対談
- Q. 共演前と共演後
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松山ケンイチさん(以下、敬称略):
僕、青森出身なんですが、テレビっ子だったんです。木村さんの番組はすごく観てました。進路を決める中学校3年生の時『ビューティフルライフ』が放送中で、皆の志望校が美容師の専門学校で、僕も書いてましたから。木村拓哉さん(以下、敬称略):
ああそうなんだ。松山:
それくらいやっぱり影響力が強い方ですよね。木村:
時間を感じる…松山:
そうですか?木村:
中3のときに『ビューティフルライフ』やってたの?松山:
はい木村:
マジで?!松山:
その頃、木村さんおいくつだったんですか木村:
15年前、16年前か…松山:
今の僕ぐらいの年齢ですか?
20代ですか?もしかして。木村:
20代。松山:
すげー!木村:
うん。『ビューティフルライフ』は20代だね。松山:
そうですか。すごく覚えてるんですけど、説得力がすごかった。今回ももちろんそうなんですけど、僕ドラマとか映画とかを観ると、その役者さんがどれだけ本気でやってるか、本当に美容師だなって思えないと嫌なんですよ。木村:
うん松山:
「フリしてやってんだ」みたいなのは嫌なんです。木村さんには全くそれを感じない。今回、どういう風に役に向き合っていらっしゃるのかなって、色々話を聞かせていただいて、ものすごく勉強されてるし、経験を積んでいくっていう絶対に見えない作業や、誰にも見えないところでの努力が半端ない方なんだなと改めて思いました。だからこそ、その役に説得力を持たすことができるし…すごいなと思います。本当に。木村:
なにがだよ(笑)松山:
医者なんです。木村さんが医者なんです。びっくりしますよ。
役に対しての向き合い方は、予想通り凄い方でした。木村:
なにを言ってるの(笑)松山:
そういう感じです。はい。木村:
僕は何て言うんだろうな。全身全霊以上に…全身全霊以上はないかもしれないけど、そこに近い覚悟。
でも、ケンケンも与えられたその時々の役に対して、第三者から見てたりすると「平気!?」って心配になるぐらいいくよね。松山:
そうですか?木村:
うんPHOTO1松山:
今回は、木村さんの背中、浅野さんの背中を追いかけてるみたいな感じなんですけど。木村:
それは井川先生だからでしょ。松山:
いやいや僕自身もそうですよやっぱり。今まで観てきた方たち、このままずーっと憧れ続ける方たちですから、毎日毎日勉強させていただいています。本当に。その役とか云々じゃなくて、木村さんのすごいところはですね…木村:
だからもう、えー。なんなんだよ(笑)松山:
僕なんぼでも喋れますよ。見てますからちゃんと!木村:
怖くなってきたなあ。松山:
色々な仕事をされてきて、色々な職業を演じられているので、すごい博識なんですよ。何聞いても答えてくれるというか。「こんなに物知りなんだ」と思って。僕も色々な役をやらせていただいてますけど、やっぱりその役終わったら忘れちゃうんですよね。木村:
マジで?松山:
忘れます。あれ?これどういうことだったっけ…とか。例えばギタリスト役やっても、もう忘れちゃってます。次に行くときにやっぱり消去しないと僕は行けないんですよ。木村:
なるほど松山:
なんかめちゃくちゃ大容量のハードディスクを積んでるような感じですよね。木村:
俺?松山:
ええ。どこまでストックしてんだって。木村:
自分的に解釈すると…100ギガです(笑)松山:
いやいや、嘘だ!4テラぐらいありますよ!木村:
詰め込んだ台詞は、「はいカット!チェック!」「チェックオッケー」ってなった瞬間にもう消去してる。松山:
そうですね。僕も消去ですね。木村:
消去してるけど、作品ごとの景色とか経験したことによって自分が「うわっ」て思ったこととか、映像だったり音だったり残ってない?松山:
うーん。そうですね。一人だけの自分だけの景色だったら印象が薄くなってしまいますよね。木村さんはそういう出会いも大切にしているから、聞いた話とかが残っていくのかなとも思いました。 僕、全然友達できないですから。仕事でも1人か2人とかです。今まで。木村:
いやでもそれもそれでアリだし。まんまでいいんじゃない?松山:
まんまでいこうと思ってるんですけど…木村:
絶対周りから何を言われたってまんまでいくでしょ。松山:
そうですね。もう自分の中で答えは決まってます。木村:
そういう感じはすごくする。
- Q. 木村さんのドラマで次に見たい職業は?
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松山:
大工さんとかですかね。
今回は、天才というか職人という役どころじゃなですか、いろんな世界に職人の方はいらっしゃるじゃないですか、大工さんもその一つかなあと。木村:
僕、実はすごい興味あるんですよ。松山:
大工さんですか?木村:
大工さんというか、ニッカポッカを履いて、高いところで作業する足場を組んだり…だから大工さんというより鳶職人さんかな。松山:
いくらでもありますよ。やっていただきたい役。死神とか。木村:
死神?松山:
すごく面白かったじゃないですか。ブラットピットがやった木村:
ああ!『ジョー・ブラックをよろしく』?松山:
うん!あとはオバケとかゾンビとか。木村:
ゾンビ?!松山:
面白くないですか?あまりにかっこいいゾンビが出てきて、キャーっていうより「あ、どうも」って木村:
いやいやいや(笑)
ゾンビと会って「あ、どうも」はないでしょ!松山:
ゾンビの概念とかオバケの概念を崩していただきたいです。木村:
(笑)。面白いでしょ?ケンケン面白いのよほんっとに!
- Q. お互いに聞きたい事は?
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松山:
僕あります。尊敬する俳優さんはどなたですか?木村:
いっぱいいるな。今回で言ったら、忠信さんもそうだし、田村正和さん、北大路欣也さん、柴田恭兵さん、香川照之さんも。先輩でご一緒させていただいた方は、みんな尊敬する部分はあります。松山:
どういう所をやっぱり尊敬されてるんですか?木村:
本気度。「コレぐらいで良いだろう」って思う方って、一緒にいると分かっちゃう。なんだけど、本当に短いワンカット、本当に短いワンシーンでもこんな先輩が本当に全部本気でやられてるんだ!っていう部分を感じる。
カッコいいなって思ったのが、すごい大先輩が、お茶一杯の休憩が出来ない状況のロケ先で制作スタッフが40個くらいの紙コップに麦茶をちょっとずつ入れて配ってくれている時、その大先輩にもいかがですかって渡したら、その先輩が、当たり前なんだよ、当たり前なんだけど、受け取りながら、「ありがとう」って言ってたのを見たとき、「うわーカッコいいな!」って。もちろん人として尊敬出来る部分もそうだけど、現場での取り組み方というか、向き合い方というか…松山:
ちゃんと俳優部として中に入り込んでる感じなんですかね木村:
俳優部として、しっかり逃げずにやってる方たちには「うわ!」って思うかな松山:
そうですね。本気っていうのは画面で絶対映ってきますよね。熱の温度差みたいなものはあるのかもしれないですね。気をつけよう…
- Q. ●●のために、生きてきた
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木村:
聞きたいんだって。ケンケンが●●のために生きてきたのかって松山:
僕当たり前のことを言いますけど、「自分の命を全うするために生きてきてる」んですよね。
もうそれだけです。どの瞬間に自分の命を使っていくかっていうことじゃないですか?木村:
深い松山:
そういう局面って、絶対ありますよね木村:
局面は、あるかもしれないけど、気づいてないかも松山:
そうですか?木村:
やりたいことをやってるし松山:
でもやりたいことをやってるっていうのが、自分の命を使ってるっていうことじゃないですか?木村:
…かもしれない。間違いなくそう。すっごいな、深いな松山:
これって当たり前のことだからこそ、見えにくかったりすると思います。軽視しているというか、忘れている部分。自分自身が幸せを感じて生きていきたいんですよね。自分の命を使って、正しい場で。それだけです。
- Q. このドラマのみどころを教えてください
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松山:
人を救うオペの部分や人としてどう命を扱うべきかってことは、今までに医療ドラマとして何作品もやられて来たことだと思うんです。だけど、今回は病院の経営というビジネスの部分にも踏み込んだ作品なんです。それは僕の知り合いのお医者さんたちも「そこを描くのは面白いし、すごく新鮮」って言ってくれました。なので自分自身もこういう作品をあまり観たことがないですし、男性に特に楽しんでいただける作品になっているんじゃないかなあ。軟派な作品にはならない。
あとは制作の方々、そしてキャストの皆さんが木村拓哉さんを筆頭に本気です。その本気をどこまで尖らすことが出来るのかという戦いでもあるので、最後まで頑張っていきたいなと思っています。