2019年1月スタート毎週日曜よる9時

インタビュー

常盤貴子さん(蓮見杏子役)

脚本を読まれた感想

この作品のお話をいただいてから、まずはアメリカ版の 『グッドワイフ』 を観たので、日本版の脚本を読んで、アメリカ版の面白さがなくなっていたらどうしようと、思いながら読み始めたのですが、そんなことまったくなく、日本版もアメリカ版の時に面白いと思った印象そのままだったので、撮影がすごく楽しみになりました。

アメリカ版『グッドワイフ』をご覧になって

どこで観るのを止めたらいいのだろうというくらい楽しく観させていただきました。それを日本に置き換えたときに、どうなるのかというのが一番気になるところだったんですけど、プロデューサーや脚本の篠﨑さんを始めとする制作陣の皆さんと私自身が 「おもしろい!」 と思うポイントが同じだったように感じます。脚本を読んでいて単純に 「面白い」 と思うことが多かったですし、実際に撮影が始まっても、プロデューサーはリハーサルも見てくださっていて、意見交換をしてくださるんです。やらせっぱなしではないというか (笑)。作品のクオリティを管理してくださっているからこそ、面白いものが出来るんだろうなと思いました。
原作をご覧になっている方も楽しんでいただけるドラマだと思います。(原作と) 印象は一緒なのに 「あれ?こうだっけ?」 と、違う面白さがあると思います。1つのエピソードに別のエピソードも入れていたり、ちょっとした違いをつけているそうです。原作と見比べてご覧になるのもまた面白いのではないでしょうか。

蓮見杏子の魅力

まず最初に、弁護士として16年もブランクがあるのに、再び挑もうとしているという、世間的に 「ないでしょ」 と思われるようなことをやろうとすることが、強い心の持ち主だなと思います。
撮影前に弁護士さんにお話を伺ったのですが、弁護士は1年の休みでもその間の判例をアップデートするのが相当大変だと聞きました。それが16年分のアップデートをしなければいけないとなると、相当大変だと思います。「弁護士としてはブランクだけど、私なりに、家事も育児も精一杯やってきたから、それがなんの力にもなってないとは思わない」 というセリフがあるのですが、私、すごくこのセリフが好きなんです。これから戦っていくには、自分の中にアップデートしていかなきゃいけないことがたくさんあると思うんですけど、やろうと決めた強さは何なんだろうと思った時、母の強さや女性としての強さ… 意地もあると思います。いろんな強さが彼女の原動力だと思うし、それが16年間杏子が培ってきた “強さたち” だと思うんです。その強さたちで、無謀だと思われることにも挑戦してしまうところが魅力的な女性だなと思います。
世の中にリーガルドラマがたくさんある中で、今作は他と何が違うのかというと、一番は杏子が主婦としての目線を持っていること。それが彼女の武器であり彼女ならではの魅力だと思います。

共感できるところ

決して “スーパー弁護士” ではないところです。主婦として暮らしてきた中での視点が活かされている脚本だと思いました。事件とか案件によってお話は進みますが、弁護士の目線だけではなく、主婦の目線・母親の目線、そういうものも入ってくるっていうのが他のドラマにはないところなんじゃないかなと思います。
さらに私も19年ぶりに主演で 『日曜劇場』 に戻ってきているので、挑戦といえば挑戦です。
「やるって決めたら、やろうじゃないか」 という杏子の心意気は共感できます。私もその当時に戻って挑戦するのではなく、その間の自分がいろいろ経験してきたことがあるからこそ、今挑戦できると思っています。19年間 『日曜劇場』 には来てなかったけれど、お仕事はさせていただいていたので、「それが何の力にもなっていないとは思わない」 それは同感です。

弁護士を演じるにあたって

たまたま知り合いにパラリーガルの方がいて、以前から 「そういう役がきたら協力するよ」 と言ってくださっていました。「本当にその時が来ちゃいました」 とお願いしたら、快く引き受けてくださいました。そうして、弁護士さん3人とパラリーガルの知人が付き合ってくださって、本当の弁護士事務所内を案内してくださったり、いろいろなお話を聞かせてくださいました。

杏子の衣装について

ポスターで着ている衣装は、ドラマの中では着ていないんですけど、色は入れていくようにしています。いわゆる “弁護士ドラマ” の弁護士というのは、ドラマだと法廷のことを考えて、地味な色が多くなってきちゃうと思うんです。私もそう思っていたんですが、実際の弁護士事務所を見させていただくと、皆さんの服装は意外と自由なんですよね。一般的にイメージしていた弁護士さんより本当の弁護士さんは自由ということを知ってしまったので、衣装も幅広くやっていこうと思っています。

弁護士ドラマといえば法廷シーンですが?

先日、法廷シーンの撮影があったのですが、あんなに緊張すると思わなかったです (笑)。
撮影が始まる前から、法廷シーンは怖いなと思っていて 「法廷シーンの日が来なければいいのに」 と思っていたんですけど (笑)、やはり緊張しますね。
過去に一回だけ弁護士役を演じたことがありますが、その時は、この怖さが分からなかったですね…。
あるスイッチが必要になりそうです。これから、杏子は一人前の弁護士になっていかなきゃいけないから大変です…… 成長するだろうなあ (笑)。
とにかくよく喋りました。一日中法廷シーンの撮影だったので、一日中ずっと喋っていたんです。そしたら最後は (口の周りの) 筋肉が動かなくなっていて、次の日は撮影がなかったので途中から 「明日は一言も絶対しゃべらない!」 って、頭の中で何度も繰り返しました (笑)。「じぃーっと静かに過ごす!」 って、とにかく何もしゃべらず静かにしていたかったです (笑)。

共演者の皆様の印象

唐沢寿明さんとは 「20世紀少年」 という映画でキャンペーンも含めると3年間くらいずっと一緒だったので、すごく信頼しています。
北村匠海くんは、演じる朝飛くんがどんどんチャーミングになっている印象です。メンバーの中では最年少ですけど、あの役は本当に重要で、彼がチャーミングだと全体が明るくなりますし、杏子との対比を描くうえで重要です。次はどんな感じで来るんだろうと、彼とのお芝居が楽しみです。
小泉孝太郎さんは… 面白い方ですね。あんなに変わった人だとは、思ってもいなかった (笑)。どんな話を振っても、すごい真面目に変なことが返ってくるんです。「それ変だよ!」 って自分の中ではツッコんでいるんですが、すごく真面目に答えてくださっているから、なんかツッコむ雰囲気じゃなく (笑)。そういう雰囲気がとても面白い方だなと。

現場の雰囲気はいかがですか?

検察チームとはまだ撮影していないので、いい感じです (笑)!
だって、検察チームとのシーンはどうやったって内容がシリアスになるじゃないですか。杏子としては、夫との離婚問題などで、苦悩の根源なわけですから。事務所メンバーとは本当に戦友のようになっていて、理想の会社のような感じです。
自由な現場です。監督の塚原さんが本当に面白い方で、驚くような演出をされるので、振り回される気分で楽しくやっています。

常盤さんへの演出は?

アメリカ版の 『グッドワイフ』 に引きずられている部分があったのかもしれないですが、割と大人な感じでつくろうとしていたんですけれど、「小泉孝太郎くん演じる多田さんとの関係は大学時代に戻ってしまうくらい精神年齢を落としてください」 とか 「家庭では本当に主婦が子供たちと遊ぶようなテンションや笑顔を見せてください」 と言われ、ふり幅がすごく広がりました。元弁護士だったし、検事の嫁だから、ちゃんとしている女性だというイメージは持っていたんです。でも、“普通の主婦だった” ということで、ガンッと間口を広げてくださって、さらに大学時代は弁護士でもなんでもなかったから、その時代に戻るということで、そこでまた広げてくださって…。
本当にふり幅が広がったので、今は自由にどうにでもできるなと、気が楽になりました。
このドラマは人間ドラマなので、その人その人によって顔が変わるほうが、より何を考えているのかわからなくなるし、より興味深くなってくると思います。もしかしたら、(顔を使い分けるということが) 最も弁護士的なことかもしれないと思いますし。

メッセージ

いわゆる “リーガルドラマ” は、1つの事件を解決して終わりだけれど、『日曜劇場 グッドワイフ』 は多重構造になっています。夫のスキャンダルや、検察という組織の出世争い、事務所内での人間関係… さらに、すべての登場人物が敵なのか味方なのかが、わからない。ドラマだと味方や敵になったらずっとそうだけど、このドラマは誰がどこで裏切るかわからない危険性をはらんでいて油断ならない!
そして、彼女の逆境に立ち向かう姿に、観てくださった皆さんが爽快な気分で月曜日を迎えられるといいなと願っています、ぜひご覧ください。

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