中村隼人さん(久野淳志)

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物語も中盤に差し掛かりましたが、作品を読まれた感想を教えてください。
アニメやマンガですときれいに描けるものも、生身の人間がやるとドロドロしているように見えることがあると思うのですが、そういった意味で「The少女マンガだな」という印象を受けました。特に僕の場合は、内容だけ聞くとドロドロしているところを、いかに美化して様式的に見せられるかが重要な歌舞伎の世界にいるので、オブラートに包んだような雰囲気は理解することができるな、と思っています。
そんな中で演じる久野という役についてどう感じていらっしゃいますか?

一見、最低な男ですよね(笑)。ですが久野のような人は結構いるんじゃないかとも思うんです。「人を愛せない」という考えは失恋してもう恋をしたくないというのと、まだ恋をしたことがないから、というのと紙一重だと思うんです。「世界一醜い自分になっていく」という久野が、千明とあかり、また親しい先輩である海里さんと未亜、恋に苦しんでいる人たちを見て、「これが恋なのかな?」と気づいていくことが出来るかどうか…その心情の変化は細かくて難しいですけれど、深みのある役どころで非常にやりがいがあります。
久野さんは千明とあかり、それぞれをどう思っていると思いますか?

千明が自分を見ていない、というのは最初からわかっていますし、ひどいけれどもお互い様、と思っているのではないでしょうか。一方であかりは、久野にとって自分の辞書にないタイプの人間だったんでしょう。批判されたりビンタされたりとか、自分の思い通りにならない人間だからこそ、興味が湧くんでしょうね。あかりの「自分の好きな人はみんな千明を好きになる」というセリフがありましたが、それを聞いてもあかりが一番純粋な人物だと思いますね。
久野さんは小説家でありながら本業はトレーダーという2足のわらじを履いていますが、中村さんも歌舞伎俳優であり、今回は現代のドラマのご出演と、共感する部分はありますか?
2足のわらじ、と言うのは同じ「お芝居」という面で捉えれば当てはまらないですが、やはり歌舞伎と現代劇とでは別物だとは思います。両方やっていらっしゃる先輩方も多いですけれど、演じ方が根本的に違っていて、歌舞伎をずっとやっている人は、「映像の芝居ができない」といわれることがありますし、映像しかやってない人は「歌舞伎の芝居ができない」と言われることがある中、歌舞伎俳優である僕が初めてレギュラーで現代劇に出演させていただいているというのは、何か意味があると思っています。ただ、やはりほかの俳優さんができることを僕らはできないことがあるのかなと思ったりしますね。例えば驚くときに普通は目だけでいいところが、全身を使って表現してしまったり、声量とか、顔の向きとか、いろいろあります。最初の頃は手探りでしたが、監督に教えていただけているのでよかったなと思います。
キャラクターとしては、久野のような遊び人でもありませんし、何事にも自信がある、ということもないので一番共感できないです(笑)。ただ、ぼくも先輩から相談を受けることがあるので、海里さんとの関係は自分と重なるな、と思っています。
共演しているみなさまとはいかがですか。
皆さんと年齢が近いんですけれど、映像の現場は初めてなので、どういうものが正解なのかわからないですが、打ち解けてきたかな、というのは感じますね。そういった空気感は映像に表れてくると思っていて、このドラマでは久野は海里さん以外、ほぼ知らない仲から何回かあって親しくなるという流れですから、その距離感で合っているのかな、と思っています。
滝沢さんとは、共通の舞台の知り合いがいたりしますので、舞台人として話題が多くて話しやすいです。
未亜たちの恋愛については、どう思いますか?

僕は男性だからこそ、もし海里さんと同じ立場になったときに、「どうなんだろう」と考えたりしますね。奥さんにはもう気持ちがなくても、離婚はまだ成立していない以上、背負う義務もある。でも恋をすることというのは、頭で考えられることではないと思っています。
後半に向けて、ご覧の皆さまにメッセージをお願いします。

ドラマという夢の世界の中で、素直な気持ちで見ていただきたいです。あとは共演者の皆さんが「きゅんきゅんしてください」って言っていますから、どうぞきゅんきゅんしてください(笑)。
久野役としては、まだまだ「ヒドイ人」という声が高まりそうですが、人を愛せないつらさというのは、愛しても愛しても叶わないつらさと同じくらいつらいものがある、もしかしたらそれ以上かもしれません。久野の姿をご覧になって「人のことを愛せないつらさ」というのを感じていただけたらうれしいです。
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