火曜ドラマ『カルテット』

インタビュー

第1回

共演の印象をお聞かせください。

松田龍平さん(以下、松田):松さんと満島さんは過去に共演したことがあるんですが、とても素敵な女優さんだなぁと。高橋さんは今回初めてご一緒するんですが、今からとても楽しみです。

松たか子さん(以下、松):松田さんとは映画(2015年公開『ジヌよさらば~かむろば村へ~』)でご一緒しました。東京を離れて、とてもリラックスした雰囲気の中で過ごしたので、東京でこのようなドラマでご一緒するのは、また違う感覚になるんだろうなと思うと楽しみです。
満島さんとは初めてで、魅力的な方だと思っていたので、これまた楽しみです。
高橋さんはドラマ(『HERO』)で1~2シーンご一緒しましたが、その時は向き合う感じではなかったので、今回がほぼ初めてに近いですね。お芝居が上手だなあと思っていたし、この方たちとテレビドラマで共演できるのは、とても贅沢な気がしています。迷惑かけないように頑張ります!

満島ひかりさん(以下、満島):龍平君はいろいろズルいなって感じ。顔もずるいし、佇まいもずるいし、しゃべることもズルいし…(笑)。
松さんとは共演は初めてですが、何度かお会いしたことがあって、嘘をつかない方、という印象があります。表情に全部出ている感じが、すごく面白いです。高校生の頃、松さんが主演の『四月物語』という映画をおうちで100回くらい見たので、勝手に友達の気分です(笑)。
高橋さんは一緒にいると面白くなっちゃうので、お芝居がちゃんとできないかもしれない(笑)。脚本の坂元さんにその話をしたら、そういう風な設定になっていました(笑)。諭高の言動に笑っちゃうっていう。笑えなくなっちゃったらどうしよう(笑)。

高橋一生さん(以下、高橋):松さんは色々な映画やテレビを見て、本当に実直な方ななんだろうなと、ポスター撮りをしている時に思ったので、どんなふうにお芝居で絡んでいけるかが楽しみです。
満島さんは僕の顔を見ると笑ってしまうそうなので、できる限り笑っていただいて楽しく過ごしていただけたらと思います。
松田さんとは先日、楽器練習を二人でやったのですが、時間がなくてあまり話せなかったので、これから仲良くしていけたらと思っています!

四重奏を演奏するのと、お芝居をする行為は似ているように感じるのですが、いかがですか?

イメージ

松:お互い人間なのでいい時もあれば、ちょっと頑張んなきゃなって時もある。それをお互いに感じながら一緒に進んでいければなと。それがポジテイブにいく時もあればネガティブな方向にいっちゃうことがあるかもしれない。それを怖がらずにどこまで腹くくっていけるかが大事なのかなと、大げさに言えば。でも単純に助け合っていこうね、という感じです。一人一人の個性があれば、それだけで充分。互いを信じてそれが出来ればいいですね。またそれとは別に、具体的な楽器演奏とのバランスは非常に悩ましくて。悶々としてしまうかもしれませんが、一人じゃないと思ってやるしかないかな。まだ、ジタバタしていますけど……。

満島:楽器をやるつもりでこのドラマに参加していなかったから、最初「ワーっ!」て。「楽器?マジですか?しかも弦楽器!?」って。恐らくけっこう不快な音を出して、現場はすごいことになると思います(笑)。でもその分、4人の場面はできるだけ疲れないように楽しくやれたらいいな。坂元さんの脚本はそれぞれの役柄が面白いし、「どうやってやるんだろう、ぴったりだな」って思うところと、「え、この人にこれをさせるの?」みたいな部分があって、すごく楽しみです。

松田:セッションですよね、「合わせる」という意味では。演奏とお芝居がダイレクトに繋がっていくドラマになったらいいなと思っています。お芝居を固めていくことで演奏する時の感じ方も変わってくるような気がします。僕も今、ヴァイオリン練習をしているんですけど、弾いているとなんか落ち着くんですよね。台本を読むんでいてどう演じようか迷ったら、とりあえずヴァイオリンを弾いてみるっていう、そんな感じでやってます。
満島:すごい、すごく先にいっちゃってる…)
いやいや、全然弾けてないよ、でも気持ち的には夢中になれるからいいなって感じです。

高橋:演奏会みたいなものをスタジオでやってくださったんです。リアルに弦楽四重奏を聞かせていただく機会があって、生で聞くとすごかった。たぶん緻密に作り込んでいく必要はあるんでしょうけど、最終的に放り出す作業が4人のチームワークを生んでいると思うと、あまり意図しなくても、松田さんがおっしゃっていたように“セッション”という意味では会話劇みたいな側面もあるので、そこを楽しめたらいいなと思っています。

台本を読んだ感想をお聞かせください。

松:面白かったです。面白かったので面白いまま面白くしていけたら、と。私はあまり器用ではないので、何かを付け足すことは出来ないのですが、台本を読んで面白いと感じた印象がそのまま視聴者の皆さんにも伝わればいいなって。4人の会話で、結構くだらないことに時間を割いている部分があるのですが、それにも意味がある。それを真剣にやった方が面白いと思うので、私としては素直にやりたいし、4人で合わせた時には違った空気感が生まれるかもしれないし、あえて複雑にせずにやりたいです。撮影が始まるまで緊張しますが、きっと面白くなるんだろうなという予感に溢れているので…頑張ります。

満島:高橋さんと私は坂元さんの脚本に何度か参加していますが、今回は気分がラクな感じがしました。でも、この本、“風”がすごいんです!読んでいてラクそうだけど、やる時には常に奇跡が起きないと出来ないというか……風が止まっちゃったらどうしよう、みたいな感じになりそう。風が吹いている間はできるけど、何回もテストや本番で演じてしまったら固くなちゃうかもしれない。固めてはいけない感じがしていて、4人がその場に集まってサッとやってみた時に何か生まれる気がしています。だから、いい意味で台本にすき間がいっぱい(笑)。
松:最初が一番面白いかもしれないね)
「カルテット」の台本には、風がいっぱい通っているから、その感じを保てたらいいなと。最後まで「あ、奇跡起きちゃったねー」みたいに思えたらいいけど、だんだんと寝る時間がなくなってきたときが嫌だな。だから週に2回くらい撮影がお休みだといいですね。あまりに疲れていたら出来ない気がするので……。
(一同、笑)

松田:僕も満島さんが言ったような印象を僕も受けました。会話の中で生まれる一瞬の空気というか、そういうものを大事にしているんだろうなって。本を読んでいて、読みとれない部分、ちょっと意味がわからないところが…(笑)あるんですけど。場の空気感のような台詞から気持ちを想像するのは面白いです。ただ、撮影では、一発OKみたいなことにはならないと思うので、それは覚悟して、何度もやることで、そういう意味での純度みたいなものが変わってきたとしても、それはそれとして面白くなれば、という気持ちでやりたいです。

高橋:坂元さんの脚本は、文章であって、口語でもあるので、口に出すととてもしっくりきます。息をするようにセリフを言いたいので、そこは常に大事にしていたいです。もちろんナマな感じは大事だと思うけど、テクニカルなものを持ってこないと乗り切れない局面もでてくるだろうし、それを考えるとちょっと楽しみではあります。自分のことを俯瞰で見つつ、バランスをとっていけたらなと思っています。

演じる役柄についてお聞かせください。

松:よく分からない人ですね。どういう人だろうと考えてはいるのですが、わからない(笑)。なんでヴァイオリンやっているんだろう?ヴァイオリンがこの人に何かしてくれたからやり続けているのかな?と。人が好きなのか、ヴァイオリンが好きなのか、何をどう思って人を見ているのか、何が大事なのか……すべてが謎です。でも、全部分かって演じるよりも、謎のままやるのもいいのかなと思っています。声が小さいという特徴はありますが、暗い人じゃないと思いますし。暗くはないけど、明るくもいられない、普通の人のような変わった人のような……なんか、妙なところを行ったり来たりしている人なのかなぁと考えています。でも、答えはそんな簡単には出てこないですね。 巻さんが「カルテット」を組もうと思ったのは、きっと大丈夫だと思える3人と出会えたことの影響があるでしょうし、彼女に何があったのか、人への興味や信頼というものを、私も同時に探していくことになると思います。

満島:私は、「やったー!楽チンの役だ!」って。いつも寝てるし、名前も“すずめ”でかわいい。台本を読んで、何となく思いついて、いろんな人から洋服を集めようと思い、音楽をやっている人たちに「洋服ください」とお願いして回りました。そして、いっぱい洋服をもらって、知らない人たちの服を着ています。初めてそういうことしました(笑)。
生きて、存在して、チェロ弾いて、寝て、食べるとこ・・・みたいな感じになればいいのかなー。音楽をやっている時は自分が大切なものに寄り添うでしょうけど。ただ、この3人といるのは、楽チンだし、楽しいし、楽にさせてくれる。寝たら運んでくれるし(笑)。でも、すずめにも秘密があって……。3、4歳の女の子みたいに、たまにポツっと達観したセリフを言うのが独特ですけど。「おっ!やっぱり坂元さんの表現は好きだなぁ」と。それを言うのがすごく楽しみです。声に出して読んでみたら、軽みがあっていいなと思いました。テレビドラマは撮影しながらだんだんと疲れるので、あんまり疲れないでやりたいです。

松田:今のところ、4人の中では、一番裏表のない、分かりやすい人なのかな。と思っているのですが……実は一番、怖い裏の顔があったらどうしようって。一番謎がないので、その分ドキドキしますね(笑)。

高橋:役そのものはホーボーみたいなやつだと思うんです。根っこのところで思うことはいろいろあるんでしょうけど、うまく生きられてしまう器用さゆえの不自由さと、一般的な感覚とはズレている自由さを持ち合わせている人間かなと。お芝居をしながら会話をしていけたらいいですね。「こうしていきましょう」というのが出来ない本だと思うので、会話をしながら役に見えればいいなと思っています。

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