インタビュー 高畑充希さん × 西島秀俊さん

Q. 『メゾン・ド・ポリス』のオファーがきたときの心境をお聞かせください

高畑充希さん 原作本を読ませていただいたのですが、“おじさま達のシェアハウス”という設定が自分の中にキャッチ―に入ってきて、そこに異質な自分が入る、という様子を見てみたい!と思いました。
お話をいただいたときは、おじさま方のキャスティングが決まっていなかったのですが、決定を聞いて「大変だ!」と(笑)。規格外に豪華だし、おひとりおひとりを私は小さい頃からテレビで拝見していたので、それぞれの印象が強くて、皆さんが同じ空間にいることが想像できないなって。リハーサルで初めて全員揃ったときは、圧倒されていつの間にか終わっていました(笑)。シェアハウスのシーンでは、おじさまたちの会話を聞いているだけでものすごく楽しかったので、これがドラマになったら凄く面白いと思います。おじさま達の渦に巻き込まれてしまうひよりになれるのがとても楽しみでした。

西島秀俊さん 高畑さんとは以前、『とと姉ちゃん』(2016年NHK)で1シーンだけご一緒させていただいたことがあって、もう一度しっかりと共演したいと思っていました。また、原作本を読ませていただいて、「これは間違いなく面白いドラマになる」と感じたので、ぜひ参加させていただきたいとお返事しました。ほかのキャストの方も決まって、「これはどうやっても面白くなるだろう!」と。ずっとご一緒したいと思っていた先輩、もう一度共演したいと思っていた先輩方との共演に、何かが起こりそうな予感がしました。シェアハウスの室内も、まるごとスタジオに建てているので、どんな動線でも一連で撮れる形になっています。その中で、高畑さんと僕が翻弄されていく姿が想像できたので、早くみなさんと演技をしたくてワクワクしましたね。自分は「本読み」と「顔合わせ」が本当に苦手で、普段は震えるくらい緊張しちゃうんですけど、今回全く緊張しなかったんですよ(一同爆笑)。すごいメンバーだから絶対に緊張すると思っていたら、不思議なくらい“安らかさ”がありました。挨拶の時も「あれ、全く緊張しない」と、冗談を言うくらいの余裕が自分の中にあってビックリしました(笑)。

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Q. おじさんの魅力は何だと思いますか?

高畑さん なんて言ったらいいんだろう…。存在が尊い(一同:爆笑)

西島さん わかる。存在が尊いっていいよね(笑)

高畑さん 大先輩と共演するといつも思うんですけど、その人が何をするかではなくて、いるだけで尊いみたいな(笑)。撮影現場が尊い(笑)。

西島さん (笑)

高畑さん 現場が、本当に穏やかなんです。全然ピリピリしていなくて。皆さん余裕しかない、という感じです。

Q. 西島さんはシェアハウスの雑用係ということですが…。

西島さん そうですね(笑)。自分は47歳なんですけど、監督から「西島くんは、この“部室”のパシリなんだ」と言われました(笑)。そういわれて、なんだかすごく楽になりましたね(笑)。一番下っ端なので、みなさんにお任せしておけばいいというか、命令されてそれに「はい」と従っていこうと思います。
あとは、みなさん本当にエネルギッシュなので爪痕を残そうとしないと、「西島くん、いた?」と言われかねないので、頑張って存在をアピールしていきたいと思います(笑)。

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Q. ベテランの役者さんの中で高畑さんはプレッシャーがかかっていると思いますが、西島さんから見た高畑さんの印象は?

西島さん 高畑さんは“純粋さ”や“真っ直ぐさ”を持っている方だなと。牧野ひよりは、経験豊富なおじさん達に「刑事は、きれいごとじゃない!」とたしなめられつつも、その純粋さでみんなを引っ張り、ぶつかりながらも共に捜査をしていく。ひよりには、高畑さんの純粋さが投影されていると思います。おじさん達の中でも光り輝いていたし、たぶん諸先輩の皆さんも、そこに何かを感じていると思います。
(高畑さんに向かって)なんか優しいもんね、みんな。

高畑さん みんな優しいです(笑)

西島さん 大先輩だからもっと緊張するかなと思ったら、本当に優しい空気が流れていて。でもそれは、高畑さんが真ん中に座長としていてくださるからだと思います。

Q. 高畑さんはプレッシャーを感じずにできていますか?

高畑さん 今回、恐ろしいほどプレッシャーがなくて(笑)。なんかもう、異次元にいるような感じで。凄すぎて、「怖い」を超えちゃった感じです。

西島さん 盤石感あるよね(笑)

高畑さん そうなんです(笑)

西島さん 「どうにでもできます」という人達なので、アイディアがどんどん生まれてくる。

高畑さん 自分なんてまだまだという思いがあるから、逆にすごく楽で。だから、緊張も全然なくて、楽しいな〜という不思議な感じです。今までにない感覚です。

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Q. 西島さんの印象はいかがですか?

高畑さん 西島さんは、「切れ者」の役が多い印象です。けれど今回は、西島さんが先輩方に転がされていて、かわいいです(笑)。かっこいいシーンもたくさんあるんですけど、おじさま達にイジられている西島さんが可愛くて、エプロン姿も新鮮。視聴者のみなさんは、そのギャップにズキュン!だと思います(笑)。

西島さん ひよりに対してどんなに強いことを言っても、エプロン姿という(笑)。柔らかく見えるというのは演じる上では助かることもありますけど(笑)

Q. コミカルな部分とシリアスな部分、両方の要素を持つドラマですがどのように演じ分けますか?

高畑さん 緩急のある作品なので、楽しいなーと思っていたら、急にグッと心をつかまれる。1時間があっという間だと思います。おじさま達はコミカルなのですが、私はあまりそれを考えないようにしなきゃ、と。一緒に演じていると楽しくなってきちゃうのですが、監督から「(ひよりはおじさまたちを)最初は拒絶しているから、もっと距離を持って」と言われました。私自身はみなさんのことが好きなので心の距離が近くなっていたのですが、今後はもっと心を冷たくしようと思います(笑)。ひよりとしては、真面目にフラットでいられたらいいなと思っています。

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Q. 西島さんはイジられまくりですね(笑)

西島さん そうですね。いじられまくりですね(笑)。一方で夏目は、捜査のためには手段を選ばない、平気で嘘をつく人でもあります。シェアハウスに住むおじさん達は、それぞれが“このままでは終われない”という思いを心の中に持っている。すごく盛り上がって楽しい現場ではありますが、同時にシリアスな部分も丁寧に描いていけたら、すごく豊かで太いドラマになっていくのではないかと思います。

Q. 高畑さんは髪をバッサリと切られましたね。

高畑さん 原作を読んだとき、牧野ひよりはいい意味で個性がないというか、普通の女の子だと感じました。衣装もスーツをビシッと着こなしてカッコイイ感じなのか、カジュアルなのか…どんな風でも大丈夫なキャラクターなんです。監督と相談する中で、“あまり女っ気がない方が良いね”という話になり、20cmほどバッサリ切りました。すごく気持ちがすっきりしました。この髪型でスーツを着ると、「よし、ひよりだ!」とスイッチが入ります。

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Q. 刑事を演じる上で、高畑さんにアドバイスはありますか?

西島さん 刑事役は初めて?

高畑さん はい、初めてです。

西島さん 自分は、佐藤監督と『ストロベリーナイト』(2010年フジテレビ)という作品でご一緒したのですが、監督は“刑事”という職業に対するこだわりが強い方で。犯人に対する態度や犯罪に対する感情をキャラクターに合わせて考えてほしい、それをきちんと持ち続けてほしいと、事あるごとに言われます。ひよりは“夏目が嘘をつくこと”を許せないけれど、夏目は捜査のためなら嘘をつくことはいとわない。立場や思いは違っても、それぞれが“刑事”であるという強い意識を持って演じて欲しいといわれるので、そこは大事に演じていくのがいいんじゃないかと。アドバイスになっていないかもしれませんが…。

高畑さん ありがとうございます。

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