2019年4月スタート

用語解説

第11話

【 衛生仮説 】

1980年代後半に、イギリスのStrachan博士が提唱したもので、「衛生状態が良好過ぎる環境で育った子供は、微生物や寄生虫による刺激を受けたことがないために免疫系が発達せず、そのためにアレルギーや自己免疫疾患を引き起こしやすくなっている」という説。一例として、発展途上国では、先進国と比較して、喘息や炎症性腸疾患の発生率が極端に低いことが知られている。

【 NAPc2 】

正式にはNematode Anticoagulant Protein c2(線虫抗凝固タンパク質c2)。アメリカ鉤虫が持つタンパク質の一種で、活性化凝固第VII因子・組織因子複合体を阻害することで、血液凝固を防ぐ作用がある。アメリカ陸軍感染症医学研究所(USAMRIID)が、NAPc2の投与により、エボラウイルス感染サルを一部寛解させたことを2003年にランセット誌に発表した。

※ セルフキット

紐倉がドラマ上で考案した、感染拡大を抑制するためのキット。発熱などの疑わしい初期症状が出た者が自ら申告するか、他人からの指摘を受けた者に対して、物資一式(キット)が配布される。キットには、食料と薬品類(鎮痛剤、解熱剤、抗菌薬、胃腸薬、制吐薬等)、説明書等が入っている。キットを受け取ると、丸5日間の外出が禁止され、その間、他人と接触することは許されない。5日間発症しなかった場合、感染の疑いが無くなり、外部との接触が許可され通常の生活に戻ることができる。

監修

嘉糠 洋陸(Hirotaka Kanuka)

東京慈恵会医科大学教授。1997年東京大学農学部獣医学科卒業、2001年大阪大学大学院医学系研究科修了、2011年から現職。専門は寄生虫学、衛生動物学。

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