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2022年9月25日放送「セゴビアの旧市街と水道橋」

古代ローマから中世まで傑作建築が立ち並ぶ古都

今回、取り上げるのはスペインの文化遺産「セゴビアの旧市街と水道橋」。深い歴史を持つ街、セゴビアは、壮麗な建築物の宝庫です。番組では、そうした傑作建築にさまざまな角度から迫ります。番組を担当した田口ディレクターに話を聞きました。

1800年を経ても崩れない水道橋

古代ローマ人は遠く離れた川からセゴビアまで、水路と水道橋を築き上げ、街へ綺麗な水を大量にもたらしました。

──「セゴビアの旧市街と水道橋」とは、どんな世界遺産ですか?

田口ディレクター(以下、田口):スペインの文化遺産で、セゴビアはイベリア半島中央、マドリードから70kmほど北へ行ったところにある街です。非常に歴史のある古都で、古代から中世にかけてのさまざまな建造物を今に残す場所として世界遺産に登録されました。

イベリア半島中央に位置する古都、セゴビア。壮麗な歴史的建造物の宝庫です。

──具体的にはどんな建造物があるのでしょうか?

田口:セゴビアを代表する建造物としては、水道橋、「アルカサル」と呼ばれる城、大聖堂の3つが挙げられます。まずご紹介するのは、登録名にも含まれている水道橋です。セゴビアの旧市街の手前にある谷を越えるための水道橋で、高さは最大28m、長さは728mもあります。1800年以上前に古代ローマ人が建造したものが現在も残っているのです。

1800年以上前に建造された水道橋。高さは最大28m、長さは728mもあります。

──1800年以上前とは相当な古さですね。いったいどうやって作ったのでしょうか?

田口:漆喰などの接合材は使われておらず、2万個以上の石を積み上げることで作られています。崩れにくいアーチ構造を採用し、材料には硬くて丈夫な花崗岩を運んできて使いました。現在、1つ1つの石は年代を経て丸みを帯びていますが、今も崩れることなくしっかりと建っているのには驚かされます。

水道橋は、2万個以上もの花崗岩を積み上げて作られています。ローマ人の当時最先端の技術が用いられていました。

──実際には水道はどのように使われていたのでしょうか?

田口:水源は街から15kmほど東にある山の中にある川でした。そこから森の中などを抜ける水路を経て、最後に水道橋を通って1日260万リットルもの水をセゴビアにもたらしました。この水道は、使われていなかった時代が一時ありましたが、15世紀頃に修復されてさらに街の中の水路も整備され、19世紀末まで使われたのです。

水道の水源は、セゴビアから東へ15km離れた山にありました。ここから水路と水道橋を経て、セゴビアへ質のよい水が安定して供給されました。

──1600年以上にわたって利用されるインフラとは、本当に驚異ですね。

田口:今回の取材ではこの水道橋に迫るために、さまざまな角度から撮影してきました。ドローンによる空撮で全体像をお見せする一方で、地上から水道橋を間近に見上げるように撮影することで、その存在感や細かな部分をお伝えします。また撮影時間についても、水道橋の立体感がより伝わる映像を狙って朝や夕方にも撮ってみました。そのほかにも、クレーンを使って水道橋の橋脚に迫ったり、ハイスピード撮影したものをスロー再生してカメラの動きを滑らかに見せるなど、こだわりの映像が満載ですのでぜひご覧ください。

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