日立 世界ふしぎ発見!

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2023年6月17日 よる9時から放送

第1675回

魂が踊り出す!パプアニューギニア大冒険

ミステリーハンター

森山 未來(もりやま みらい)

1984年、兵庫県生まれ。5歳から様々なジャンルのダンスを学び、15歳で本格的に舞台デビュー。2013年には文化庁文化交流使として、イスラエルに1年間滞在、Inbal Pinto & Avshalom Pollak Dance Companyを拠点にヨーロッパ諸国にて活動。「関係値から立ち上がる身体的表現」を求めて、領域横断的に国内外で活動を展開している。俳優として、これまでに日本の映画賞を多数受賞。ダンサーとして、第10回日本ダンスフォーラム賞受賞。2022年4月より神戸市にArtist in Residence KOBE(AiRK)を設立し、運営に携わる。ポスト舞踏派。
ミステリーハンターは今回が2回目。

今回はミステリーハンター・森山未來さんがオーストラリアの北、赤道近くに位置するパプアニューギニアを訪ねます。太古の昔から続く文化や風習、自然と一体となった宗教観が今も守られ、生活の中に息づいている国です。太古から踊り続けられているという原始のダンスを求めて、森山さんが向かったのは熱帯ジャングルの奥深く…。その旅はハプニングの連続だった!?

パプアニューギニアは
以前から気になっていた場所?

ずっと面白そうだなと思っていました。以前本で読んだパプアニューギニアの地理的な要素からくる特徴や、自分が生まれ育った日本の文化との古い繋がりなど、気になることが幾つかあったんです。

また今でも800以上の言語があって、その言語の数だけ部族があると言われていることや、崇める対象も異なること。大昔から続く狩猟採集中心の暮らしが残り、 “シンシン”と呼ばれる伝統儀礼での独自の踊りや装束を持つという人たちにとても興味がありました。僕は身体表現にフォーカスしているので、パプアニューギニアの身体性について、儀式での踊りの起源や、何に踊るのか?など、この場所に来たら見られるのではという期待もありました。

だからここ4,5年、今一番行きたいところを聞かれるとパプアニューギニアと言っていたんです。この機会は本当に光栄で「世界ふしぎ発見!」さんありがとうございます(笑)。ただビザや様々なワクチン接種が必要で、道中も予定通りに進まず…、やっぱり辿り着くまでのハードルは高いですね。さらに想像を超えて起こった体験も含めて、パプアニューギニアの旅ってことなのかと。

移動はボート。パプアニューギニアの奥地を
流れるセピック川の河口から450km遡った村へ

パプアニューギニアの
ジャングルの奥地を旅した率直な感想は?

楽しかったです。セピック川をモーターカヌーで移動しながら色んな部族や集団ごとの習慣、また様々な儀礼を見せてもらえたことは非常に良かったです。この旅にはダンスの起源に触れるというテーマがありますが、その部分では新しいものを見たというよりも、何か本当に“大本”を見ている感じがしました。彼らの生活、仕事、音楽や踊りを含む祭事などに、僕らと共通するものがあった。そこに発見があったと思います。

奥の建物は部族の村に今も残る
パプアニューギニアを語る上で
欠かせないという精霊の家

目の前で、信仰の対象であり貴重な
タンパク源でもあるワニの捕獲が始まる

印象に残っているのはどんなこと?

古代から続く儀式や踊り、ジャングル奥地の村での本当に細かな日常の生活を見せてもらえたこと。でも同時に「そこにミステリーはもうなかった」というのが一番印象に残ったことです。

様々な精霊の姿が描かれた
精霊の家の天井部分

僕たち日本人はパプアニューギニアのように赤道に近いところで生きていないけれど、同じように自然豊かな山があり、森や川や海がある。だからこそ今も僕たちには自然への畏怖の念からくる生活様式や、人との繋がり方がある。そういう意味では、パプアニューギニアの人たちと日本人は、根本的に繋がっている部分が本当にたくさんある。その共通性を僕はこの旅で勝手に感じていました。

小学生たちの朝の登校風景

今回の番組の見どころは?

パプアニューギニアについて何か全く異なる、ミステリーの世界として見るのではなく、2023年の今だからこそできる見方があると僕は思っています。原始的な生き方が色濃く残されているその一方で、彼らはある程度の電気を使い、携帯電話やソーシャルメディアも活用し、同時代に生きる人たちでもある。

けれども彼らは山奥や森の中に暮らして、自然を外に押しやるのではなく、僕らよりもっと身近な形で自然や環境と折り合いをつけている感じがしました。彼らの生活に、僕らの現在の生き方をどういう風に透かしてみるのか…?そんな見方を頭の隅っこにおきながら、今回のパプアニューギニアを見て欲しいなと思っています。

こぼれ話

取材スタッフによる旅のこぼれ話をご紹介!

この旅を振り返って

パプアニューギニアで、熱帯雨林のジャングル奥地にある村を訪ねた今回の旅。出発前は破傷風のワクチン接種やマラリア予防薬を飲むなど、撮影を無事に行うための準備を余念なく進めました。

ジャングルを流れる大河セピックの流域にある村に宿泊したのですが、もちろん電気も水もない場所でした。滞在中は、突然のスコールや雷に見舞われることもあれば、セピック川で水浴びしたり、朝に少年たちが釣った魚を買って、お昼ご飯にしたり、自然の厳しさと恵みを感じました。

旅の始まりは、オーストラリア・ケアンズ経由の乗り継ぎでしたが、飛行機が遅延。到着が丸一日遅れたり、帰りはジャングルから首都ポートモレスビーに戻るエアラインが天候不順に見舞われ、翌日の移動になったりと、想定外の連続でした。移動も村の取材も、全てがこちらの思うようには進まない。そうした状況にあっても、緩やかに生きる現地の人たちの姿を見て、きっちり予定通りに進める考えそのものが、無意識に内面化されたこちら側のルールであることに気づき、そうした変化をむしろポジティブに受け止めようと思いました。

この旅では、朝は鶏の鳴き声で目覚め、夜は日没と共に就寝する、自然本来の姿にあった暮らしを体験しました。ミステリーハンター・森山未來さんは旅の最後に「そこにミステリーはもうなかった」と仰っていましたが、自然と共にある人間本来の営みをあらためて感じる旅でした。

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