衝撃！フェルメールは
やっぱり凄い！

実はこれまで絵画を鑑賞することがほとんどなかったので、フェルメールについても詳しくはありませんでした。ですから取材前に資料を見て臨みました。フェルメール展を取材する前日も、そして当日も資料を見てミュージアムへ行ったのですが、最初に見た作品でいきなり「何だこれは！」と（笑）。衝撃でした。数時間前に同じ絵を見ていたのに印象が全く違いました。目の前の本物は、小さく描かれた人物は一人ひとりが生き生きとしていて、小道のツタまでも美しく、そして空は光輝いている…。感激しました。本物の持つ力を実感しましたし、どれだけ技術が進化して本物に近い画像や映像を見ることができるようになっても、人間の目を超えるのは難しいとも感じました。フェルメールの愛好家の中には、一生かけてでもすべての作品を見たいという方たちがいると聞きますが、その気持ち今なら分かる気がします。

またフェルメールが生涯暮らした街、デルフトを取材すると時代を超えて愛され続ける作品の秘密がだんだん分かっていきました。画家として依頼主や時代のニーズに応え、売れる絵を描きたいという想いももちろんあったと思いますが、自分のために描いていたと感じることも多々あって（笑）。自分の表現をとことん追求した画家だったと思います。

美術史上最大の贋作事件
その贋作者とは？

贋作事件の詳細は、番組をご覧になって楽しんで頂きたいと思いますが、この事件を起こした贋作者、ハン・ファン・メーヘレンの数奇な人生に是非注目して頂きたいです。彼は贋作者として美術史上に名を残すことになりましたが、才能ある画家でもありました。人を騙して大金を手にしたのですから犯罪者なのですが、僕は取材を進めていくごとに彼に魅かれていきました。とても人間臭く、そしてかっこいい！

彼の描いた贋作を見た時、今回の取材で初めてフェルメールの本物を見た素人の僕ですら「ん？フェルメール？」と思ってしまったのですが、これはわざとじゃないかと感じたのです。もちろん似せていますし、フェルメールが描いたと思わせる要素もたくさんあり、300年前の作品だと鑑定されるように細工もしています。でも彼ならもっと完璧な贋作を描けたのではないでしょうか。なぜ完璧にしなかったのか、これは僕の想像ですがそこに彼の想いが込められているような気がします。当時世界中のコレクターがフェルメールの作品を欲しがっていました。もちろん純粋にフェルメールを愛していた人もいたと思いますが、その知名度と人気の高さから、ステータスとして資産として欲しいと思う人も少なからずいたと思います。メーヘレン自身が心から敬愛したフェルメール作品が形骸化している。「お前らフェルメールが好きだって？俺の方がもっと良く知っている！俺の方がもっと好きなんだ！」そんな想いをメーヘレンの贋作に感じました。まんまと財宝を盗んだのに、ルパン参上！と書き残していく（笑）そんなイメージですね。

そしてメーヘレンには、誰にでも共感できる人間臭さがあります。人は人、自分は自分と前向きに生きていきたいけれど、隣の芝生が青く見えてしまう時もあって、「何であいつが？何で俺だけ？」と。そんな人間臭いメーヘレンが持てうる才能をすべて発揮して描いた贋作が美術史上最大の贋作事件となります。悪い事だけれども、石川五右衛門のように時代の閉塞感をしばし忘れさせてくれるような痛快さがあります。番組をご覧になりながら、時代の波にのまれ翻弄されたメーヘレンの人生を味わって頂けたら嬉しいです！

名探偵を見事に演じてくださった安田さん
その心の内は…

「世界ふしぎ発見！」は学生の頃から見ていましたし、竹内海南江さんの大ファンで、ミステリーハンターになることは夢でした。夢が叶いました！実は、今回の取材が決まった時に、他の現場で思わず意気揚々と自慢してしまいました（笑）。そしてオランダのロケでは、心からの喜びを持ってクエスチョンを出題させて頂きました！また今回探ったミステリーも、非常に面白く、僕自身さまざまな発見や感動がありました。それをみなさんにお伝えでき、共有できることもとても嬉しいです。ミステリーハンターになるという夢の実現は、とても楽しく素晴らしい体験でした！