目指すは‘天空の城’
標高差3000メートル以上
東西400キロの古道
トランス・ブータン・トレイル

ブータンと言えば、国民の幸福度が高い幸せの国。でも一体どんな国なのかイメージがなかったので事前に調べたのですが、情報がほとんどないんですね。これはもう行って確かめるしかないと（笑）、ワクワクしながら現地へ向かいました。

今回チャレンジしたTBTは、廃道となっていた古道を整備して昨年復活した道です。スタートからゴールまで徒歩で行くと1ヶ月以上かかり、ゴールのタシガン・ゾンは、その神秘的な美しさから天空の城とも言われています。私たちは徒歩と車で400キロの横断に挑みました。ドライブも決してラクではありません（笑）。常に身体が縦と横に揺れ、車1台がやっと通れるくらいの道幅の所もあって、片側は切り立った崖。車から降りると、船に乗った時みたいに身体がフワフワしていました（笑）。

ですが、この標高差はTBTの魅力のひとつだと思います。ブータンは平地がほとんどない山の国ですが、標高の低い所は亜熱帯。汗ばむくらい暑いんです。標高が変わると景色も変わり、さまざまな国を旅しているような気分になりました。

そしてトレイルを歩いているとブータンの方たちの篤い信仰を感じることがたくさんありました。トレイルの整備の仕方が人間中心ではないんです。この木切った方が通りやすいなと感じる木も切らない。私はこれまで山を歩いた経験がほとんどなかったので、そういった山道を歩くのは大変でしたが、自然の中にいる気持ち良さと素晴らしさを教えて頂いたと思います。

また一番驚いたのは、フットサル場がたくさんあったことです！日本なら、あんな所に誰が行くの？というような山の上とか崖の上にあるんです（笑）。今回もちょっと現地の方とサッカーをしたのですが、私はすぐに息が切れてダメでした…。でもみなさん元気に走り回っていましたよ。そしてもの凄くサッカーは人気。特に若い世代は、男女関係なくサッカーをしていました。私がホームステイしたお家の女の子は、クリスティアーノ・ロナウドが大好きだと言っていましたよ（笑）。ブータンでは、スポーツとして娯楽としてサッカーが愛されていてとても親近感を感じました。

TBT400キロの旅路を終えて、このトレイルはブータンの人たちの魅力そのものだと感じます。篤い信仰を持ち謙虚で正直で穏やかな人たち。滞在中に、何か盗まれるんじゃないか、騙されるんじゃないか、売りつけられるんじゃないかみたいな警戒心は全く必要なかったです（笑）。そんな人たちが自らの意思で守っている伝統や素晴らしい自然。国王を心から愛し、自分の国を心から愛し誇りに思っているブータンの人たちと接して、なぜこの国が幸せの国と言われるのか分かったような気がします。トレイルの美しい景色と共に、そんなところもお伝えできたら嬉しいです！

ブータンで感激！
そして目覚めたものとは？

今回はブータンを横断するトレイルにチャレンジさせて頂きましたが、実は山歩きの経験が殆どなかったんです。記憶にあるのは、中学校の林間学校くらいでしょうか（笑）。ですからとても大変だった半面、自然の中を歩く心地よさには新鮮な感動がありました。人工的な音は何も聞こえず、風にそよぐ葉の音、さまざまな鳥の声、木々の清々しい香り…。日々歩き終えた時の達成感もあって、山歩きの魅力に目覚めました。今回は富士山より高い標高も歩きましたから、それを心の支えにして（笑）、また日本でも挑戦してみたいです。また、もうひとつ目覚めたのが激辛です。辛い物が苦手という訳ではないのですが、これまで激辛を好んで食べたことはなかったんです。そして世界一辛いとも言われるブータン料理を現地で頂き、激辛＋うま味はクセになると発見！食べてから30分は口の中がヒーヒーしてしまうことがわかっていても食べたくなるんです（笑）。実は帰国してから何度か激辛にトライしていますが、ブータンでの感動を超える味にはまだ出会えていません。唐辛子のチーズ煮込みエマ・ダツィが恋しいです！