JNNドキュメント

JNNドキュメント 毎週(火) 午後11:00〜12:00

地上波では、地域ごとにしか見ることのできない地方局制作のドキュメンタリー番組を毎週お届けします。
TBSの日本全国28局の系列局、JNN(Japan News Network)が誇る日本各地の取材班が、時間をかけて紡いだ秀逸のドキュメンタリーをお送りします。

2022年04月26日放送
〜小さな自由が排除された先に〜

ヤジと民主主義

制作:HBC北海道放送

「安倍やめろ」
2019年7月15日、安倍首相が札幌で参議院選挙の応援演説をしているときに、それは起きた。演説会場でヤジを飛ばした1人の男性が、多数の警察官によって排除されたのだ。「増税反対」と声を上げた女性も同じように排除された。ヤジだけではない。年金問題に関するプラカードを掲げようとした年配の女性も、警察官によって安倍首相から遠ざけられ、掲げることはできなかった。
あの日、札幌では少なくとも9人が警察によって排除された。弁護士団体や市民らが北海道警察に抗議し、説明を求めたが、道警は7か月にわたり説明をしなかった。だが今年2月、道警はヤジを排除したのは適正だったと結論付けた。
番組では排除された当時の映像を独自に集め、公職選挙法や元警察官、刑法の専門家などへインタビューを行い、ヤジ排除の正当性について真正面から検証する。一方で排除された当事者の思いに迫る。
さらにかつて北海道内で治安維持法によって逮捕された当事者にも取材するとともに、日本で言論の自由を弾圧した原点となる「弁士中止」も発掘する。
地方都市で起きた警察によるヤジ排除。「たかがヤジで…」という声も少なくない。しかし、この問題を放っておいていいのだろうか。小さな自由が奪われた先に待つものは何か。あの日札幌でおこったヤジ排除は、この国の民主主義になにをもたらすのだろうか、検証する。

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2022年04月19日放送

自分自身の言葉でー変わる少年院と新人教官

制作:RKB毎日放送

14歳から20歳までの少年たち約50名を収容する福岡少年院。その歴史は古く昭和13年、全国で4番目の少年院として発足。以来、多くの少年を更生に導いている。   
そこに法務教官として勤務する中村祐貴さん(35)。児童自立支援施設から転職してきて2年目だ。中村さんが配属された年から、福岡少年院には様々な変化があった。例えば、入った少年たちは、坊主頭になるのが当たり前だったが、スポーツ刈りか坊主か本人が選べるようになった。本人主体、自尊感情を高めて更生への動機づけとするためだ。
もうひとつ、少年たちの言葉の獲得を目指して、自分自身の言葉で話すことを重視した授業や面接を始めた。もともと、自分の言葉で自分の思いを伝える事が苦手な少年が多いが、社会に出て適応するためには、自分自身の思いを言葉にして伝えることが大切だと考えたからだ。
 新人教官は、少年院の変化の中で少年たちと接する際に、何を感じて何を伝えるのか、
矯正教育の現場で真摯に向き合う姿を追う。

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2022年04月12日放送
〜原子野のうた声〜

あの子

制作:NBC長崎放送

原爆をテーマにした曲を数多く遺した作曲家・木野普見雄さん。
毎年8月9日の長崎平和祈念式典で子供達が歌う「あの子」「子らのみ魂よ」の作曲者である。
原爆で妻子3人(妻31歳・長女5歳・長男3歳)が爆死し1人残された体験を持つ。被爆後に再婚して生まれた長男・隆博さんは、生前の父親から被爆体験を一度も聞いたことがない。
隆博さんは去年の「長崎平和宣言」に父親の手記が引用されたことをきっかけに、初めて父と前の家族について調べ始めた。
原爆で亡くなった「あの子」を、原爆がなければ生まれてこなかったであろう息子が追い求める。
浮かび上がってきたのは、長崎の復興に心血を注いだ父の姿と「家族」への痛ましいまでの思いだった。

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2022年04月05日放送
〜原発と故郷の山〜

まぼろしのひかり

制作:SBC信越放送

2020年秋、東日本大震災の伝承館が福島県に開館した。原発が貧しい地域を豊かにしていく様子に始まり、原発事故を証言や映像、データで紹介。復興への道筋に収斂していく内容だ。この“伝承”から取り残されていく事実、歴史に刻まれない記憶や記録がある。
原発の夢を追いかけた人が、長野市にいた。4年前に取材した増田哲将さん(当時80)は、かつて福島第一原発の副所長を務め、増設を進めた。その証言を手掛かりに、双葉郡の関係者らを訪ね、原発推進の知られざる実態に迫る。
一方で、夢の代償を負わされ続ける人たちがいる。岩間政金さんは、戦後、長野県から葛尾村に入植したが、原発事故で故郷を追われ、仮設暮らしを強いられてきた。帰郷したものの、96歳になった今も、終わらない原発事故のなかを生きていた。
放射能に汚染され、帰還困難区域として立ち入りが規制されている集落の住民もいる。浪江町の今野義人さんは、複雑な思いを抱きながら、住民の声を集めて記録誌を作っていた。「百年は帰れない」と言われた故郷を後世に伝えたいと願っている。
原発事故から10年。何かが終わったわけでも解決したわけでもない。国策に翻弄された人々が語る歴史と今を見つめる。

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